視覚障害学生のオンライン授業を支援する会

視覚障害のある学生のためのアクセシブルなオンライン講義

Accessible Online Lectures for Students with Visual Impairments

公開日:2020年4月10日

更新日:2021年3月21日


新(2021)年度に向けての注意喚起

 新型コロナウイルス感染症の流行に翻弄された2020年度がようやく終わり、2021年度を迎えようとしています。現在も感染拡大が終息していない状況の中、新入生向けガイダンスや履修登録等をオンラインで行うご予定の大学もあるかと拝察いたします。2020年度は1カ月間ほど準備期間があったのに対し、2021年度は通常のスケジュールにてガイダンスや履修登録を予定しておられるのではないでしょうか。このような状況の中で、障害のある学生が誰一人取り残されることなく、情報の提供を受け、公平に授業等に参加できるための準備は出来ていますか? 特に、障害のある新入生は初めてのことが多く、戸惑いが大きいと思います。また、新年度のスケジュールに対応するためには、大学からの情報やオンラインシステムがアクセス可能なものである必要があります。このため、以下の事項についてご確認下さいますよう、お願い申し上げます。



目次


1.趣旨

 現在、世界中で、新型コロナウイルス感染症の拡大が続いています。緊急事態宣言が出され、対象地域の大学では、キャンパスへの立ち入りが禁止されたところもあります。また、多くの大学がオンライン授業を表明しているところです。

 移動に制限・制約のある視覚障害のある学生にとって、オンライン授業は、自宅等から授業に参加出来る点では、メリットがあります。しかし、オンライン授業を受けるためには、パソコンやタブレット等の利用方法、特に、音声や拡大等のアクセシビリティ機能を使いこなすICTスキルが必要になります。アクセシビリティ機能はパソコンやOSによって異なりますし、オンライン授業で利用されるソフトウェアやアプリによって利用方法が異なります。さらに、オンライン授業で提供されるコンテンツの中には、ビジュアルな説明に依存し過ぎたり、視認性が悪かったりするものもあります。

 視覚障害のある学生に対して、ICTを活用した支援を行っている私達のところには、全国各地の視覚障害のある学生からオンライン授業に関する様々な相談が届いています。特に、緊急事態宣言の対象地域の大学に進学した新入生は、いきなり、オンラインでガイダンス等も受けなければならず、どうして良いかわからず、困っているようです。私達のところに相談があったケースについては、対応が出来ていますが、適切な専門家と出会うことが出来ていない視覚障害のある学生もいるかもしれません。そこで、私達は、視覚障害のある学生がオンライン授業にアクセスするための相談を受け付けたり、ノウハウを共有したりする活動を展開することにしました。

 支援の対象は、オンライン授業に不安を感じている視覚障害のある学生の皆さんだけでなく、視覚障害学生を支援している障害学生支援室等のスタッフの皆さんや大学・学部・キャンパス等の責任者の皆さんも含みます。障害学生支援室での経験があっても、遠隔から、視覚障害のある学生にICT機器の使い方を指導したり、ZoomやWebex等のオンライン授業で利用されるソフトウェアやアプリ等の使い方の指導したりすることは簡単ではないと思います。また、視覚障害のある学生が履修する授業のアクセシビリティをどうすれば確保できるか、特に、講義等を担当する先生に、アクセシブルなコンテンツ作成をどのように依頼すれば良いか悩んでいる大学・学部・キャンパス等の管理責任者もおられるのではないかと思います。これら様々なニーズにお応えできるような活動を展開したいと考えています。

 ホームページは逐次、更新していきますし、メールでの相談も受け付けます。オンライン授業が受けられなかったり、オンライン授業では自分の能力を発揮することができなかったりする視覚障害学生が一人もでないようにするために、ご協力をお願いいたします。なお、本会は、科学研究費補助金 基盤研究(A)「科学的根拠に基づいた視覚障害者のテスト・アコモデーションに関する実践的研究」(JSPS科研費 19H00623、研究代表者:中野泰志)、科学研究費補助金 基盤研究(B)「視覚障害者の円滑な大学進学を目指した高大連携システムの開発と評価」(JSPS科研費 18H01040、研究代表者:氏間和仁)、科学研究費補助金 基盤研究(C)「視覚に障害のある大学生の修学支援のあり方に関する実際的研究」(JSPS科研費 20K0317、研究代表者:小林秀之)のメンバーが発起人となり、これらの研究の一貫として実施しています。


文責:中野 泰志(「視覚障害学生のオンライン授業を支援する会」代表)

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2.視覚障害のある学生の皆さんへ

2.1 はじめに

 緊急事態宣言が出された地域では、大学に行って相談することが出来ないケースもあり、不安に思っていたり、どうして良いかわからず、困っている人もいるのではないかと思います。また、ガイダンス等の説明会がすべてオンライン配信になってしまい、どうやってアクセスして良いかわからない人もいるかもしれません。私達は、オンラインでのガイダンスや講義等にアクセスできなくて困っている視覚障害のある学生の皆さんにとって必要だと考えられる情報をまとめて、提供しています。また、直接のご相談にも応じています。オンライン講義って何だかわからないから試してみたい、大学からオンライン授業の手引きが届いたけれどもアクセス出来なくて困っている等、自由にご相談ください。


2.2 オンライン講義とは?

 オンライン講義とは、インターネットに接続されたパソコン等を使って受講する講義のことで、オンライン授業、遠隔授業、メディア授業等とも呼ばれます。オンライン講義と聞くと、自宅にいる学生が、教室にいる教員とテレビ電話を使ってリアルタイムでやりとりをする方法を想像する人が多いかもしれませんが、実は、いくつかの形態があります。以下、概要を説明します。なお、どのような種類のオンライン講義が展開されるかは、大学、学部、学年、担当教員、講義の内容、受講者数等によって異なるため、事前に確認する必要があります。


2.3 授業支援システムとは?

 オンライン講義では、対面での授業を動画や音声等で代替するだけでなく、教材の提供や課題の提出等が求められます。教材等のやり取りを行うのが、授業支援システムで、学習管理システム、Learning Management System (LMS)とも呼ばれています。多くの大学が導入しており、履修している科目ごとに教材を配布したり、課題を提出したりすることができ、教員と学生とのコミュニケーションを促進するソフトウェアです。授業をオンラインで実施するために、このサービスを利用する教員が増えることが予想されます。また、授業の実施方法に関する連絡も、授業支援システムを介してアナウンスされる可能性があります。


2.4 オンライン講義を受けるために必要なシステム

 オンライン講義を受けるためには、ネットワーク環境、パソコンやタブレットPC等の端末、リアルタイム型オンライン講義用のアプリ(ソフトウェア)、音声や拡大等でPCにアクセスするためのシステム等が必要です。


2.5 遠隔で相談する前に準備いただきたい環境整備

 遠隔での相談をする前に以下の点について確認していただくようお願いします。なお、以下の確認事項は、相談の前提となる環境整備ですが、これらが整備できていない場合にも、相談に応じます。特に、新入生や引っ越し等で、環境整備から行いたい場合には、遠慮なく、ご相談ください。


2.6 遠隔から支援を受ける方法(画面共有操作手順)

 オンライン授業で利用するツールの使い方を教えてもらう際、自分のPCの画面を支援者と共有することが出来ると便利です。以下、支援者と自分のPCの画面を共有するための手順を示します。


2.7 オンライン講義のための合理的配慮の依頼方法

 オンライン講義のすべてを、スクリーンリーダーや画面拡大等を使って、他の学生とまったく同じように受けることは難しいかもしれません。そこで、重要な役割を果たすのが合理的配慮です。以下、合理的配慮の考え方やオンライン講義において、どのような依頼を検討すべきなのかについて紹介します。


2.8 相談窓口

 以下、オンライン授業等の相談に応じてくれる機関を紹介します。


2.9 体験記

 以下、オンライン授業を受けた体験記を紹介します。


2.10 情報

 オンライン授業を受けるためには、パソコンやタブレットのアクセシビリティ機能を使いこなす必要があります。以下、有用な情報を掲載しますので、ご覧ください。


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3.授業を担当する教員の皆さんへ

3.1 はじめに

 今回の緊急事態宣言でオンライン授業をせざるを得なくなった教員にとって、慣れないアプリ等を使いこなして、授業を実施することは大変だろうと思います。このような状況において、視覚障害に限らず、障害のある学生への配慮を行うことは、面倒に感じられるかもしれませんし、余裕がないので対応は困難だと考えられる先生もおられるかもしれません。特に、初めて視覚障害のある学生を担当する先生にとっては、緊急事態なので、対応できなくても仕方ないと考える先生もおられるかもしれません。しかし、障害のある学生への合理的配慮等の必要性は、「障害者の権利に関する条約」等の国際条約、「障害者差別解消法」等の法律に定められていますし、文部科学省・高等教育局で議論された「障害のある学生の修学支援に関する検討会」(第二次まとめ)等にも明記されています。また、「合理的配慮」の否定は、障害を理由とする差別に含まれるとされていることに留意する必要があります。非常時で、時間的な余裕もない中ですが、障害のある学生が、他の学生と同じようにオンライン授業に参加出来るようにご配慮をお願いします。このような状況の中で、公平な教育のチャンスが提供されることこそが、共生社会の実現には必要であり、それを支えられるのが、個々の教員の実践だとお考えいただけると幸いです。


3.2 合理的配慮の申請があったときの対応

 学部等から障害のある学生への配慮の依頼が届いたら、可能な限り最大限、ご配慮いただくようお願いいたします。また、障害のある学生からより詳細な配慮について連絡がありましたら、対話を繰り返し、合意を形成していただきたいと思います。


3.3 視覚障害の学生を担当する先生へのお願い

 視覚障害のある学生は、画面を読み上げるスクリーンリーダーや画面を拡大したり、配色を変更するソフト等の支援技術を使って、情報にアクセスしています。しかし、これらの支援技術だけでは、他の学生と平等になるわけではありません。学生からの特別な申し出がなくても、以下の点には留意していただくようお願いいたします。なお、グループワーク等を行う際には、他の学生にも指導をお願いします。ただし、自分に障害があることを開示したくない学生もいますので、プライバシーには留意をお願いします。

3.4 オンライン教材を作成する際の留意点

 テキストファイルやアクセシビルなPDF等のオンライン教材を作成する方法を以下に示します。


3.5 リアルタイム配信をする際の留意点

 それぞれの大学等によって利用するシステムは異なります。システム個々における対応については別にまとめるとして、ここでは一般的な点に絞って示します。


3.6 試験やレポート等で成績評価を実施する際の留意点

 成績評価に関係する試験やレポート等をオンラインで実施する際の留意点を以下に示します。


3.7 情報


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4.障害学生支援室等で視覚障害のある学生を支援している皆さんへ

4.1 はじめに

 新型コロナウイルス感染症の対策で外出を自粛するように指示されたり、緊急事態宣言の対象地域では、キャンパスが閉鎖されたりしており、対面での支援業務が出来なくなってしまった大学等もあるのではないかと思います。対面では比較簡単に実施できていた支援が、遠隔では苦労する場合が少なくありません。例えば、支援機器類が貸し出せなくなったり、対面で使い方等を説明することが出来なくなったり、スキャナや裁断機等が使えないために情報保障が困難になったり等が生じる可能性があります。また、他の地域から引っ越してきた新入生等からは、日常生活や社会生活を行う上の困難について相談される場面も増えるのではないかと思います。障害学生支援は、基本的に各大学等で実施するわけですが、今回は、非常時なので、各大学が協力して、障害のある学生の学びを支えていきたいと思います。特に、視覚障害のある学生に対するオンライン授業等の専門家がおられない大学等では、支援に苦慮したり、より質の高い合理的配慮を提供できなかったりする可能性があると思います。「視覚障害学生のオンライン授業を支援する会」のメンバーは、長年、視覚障害教育・福祉の実務に携わってきた専門家集団であり、ICTを活用した支援のノウハウはもちろん、日常生活や社会生活に関する支援や福祉施設や当事者団体等とのつながりもありますので、可能な限りの協力をさせていただきたいと思います。


4.2 視覚障害のある学生を遠隔で支援する際の手順と留意点

 視覚障害学生に遠隔授業を提供する際の配慮のポイントを以下にまとめました。


4.3 視覚障害のある学生を支援するためのTips

 視覚障害のある学生を支援する際に知っておくべき秘訣を紹介します。


4.4 事例

準備中


4.5 情報


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5.理事や事務長等、大学等の運営・管理等を担っている皆さんへ

5.1 はじめに

 新型コロナウイルス感染症への対策として、大学等の社会的責任と使命を果たすためにキャンパスを閉鎖しつつも、教育活動の継続を図るためにオンライン(遠隔)で授業等を実施する大学等が増えています。新入生ガイダンスを含め、ほとんどすべての講義や説明会等をオンラインで実施するために、ご苦労されていることと思います。オンライン授業は、教育活動の継続を図るために必要不可欠であり、障害のある学生や留学生を含め、すべての学生が利用できるシステムづくりも必要不可欠です。共生社会を実現することも大学等が果たすべき社会的責任の一つだと思います。オンライン授業を展開する際に、ぜひ、障害のある学生、特に、動画や図表等のアクセスが困難な視覚障害のある学生のことも最初から考えたオンライン授業を構築していただくようお願いいたします。


5.2 お願いしたいこと

 教職員や障害学生支援室等と共に、以下のような物理的環境・人的支援環境等を整えていただくようお願いいたします。


5.3 情報

 以下、オンライン授業のアクセシビリティに関する各大学等の先進的な取り組みを紹介いたします。


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6.「視覚障害学生のオンライン授業を支援する会」について

6.1 スタッフ(登録順、敬称略)


6.2 連絡・相談先

 現在、大学が閉鎖されているため、メールでご連絡くださるようお願いいたします。


6.3 協力者募集

 本会の趣旨に賛同し、一緒に活動を展開してくださるボランティア・スタッフを募集しています。ご協力いただける方は、具体的な内容をお書きの上、メールでお問い合わせください。


6.4 リンクについて

 このホームページへのリンク設定は、ご自由にどうぞ。


6.5 アンケート

 もし、よろしければ、来訪者アンケートにご協力ください。アンケートは、「WEBフォーム」と「メール」送信方式の2種類があります(スクリーンリーダーのユーザは、WEB方式よりも、メール方式の方がアクセシブルだと思います)。なお、質問項目は、以下の5つです。

アンケートでご回答いただく質問項目

宛先(視覚障害学生のオンライン授業を支援する会宛):aol4svi-group@keio.jp ← メールアドレスをクリックすると自動的にメールソフトが起動し、質問項目が表示されます。

タイトル:「視覚障害学生のオンライン授業を支援する会」来訪者アンケート


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7.関連法規・制度、その他の障害等に関する情報(再掲を含みます)


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8.Q&A


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アクセスカウンタ(2020年4月10日〜)