2021年度PDF版拡大図書に関する研究
慶應義塾大学「PDF版拡大図書」申請方法
研究代表者:中野 泰志
公開日:2021年1月19日
更新日:2021年3月4日
慶應義塾大学中野泰志研究室では、長年、文部科学省初等中等教育局の委託を受け、視覚に障害のある児童生徒のための教科用特定図書(拡大教科書等)に関する実践的研究を実施しています。2013年度からは、紙の検定教科書と同じレイアウトを保持しつつ、文字サイズやフォント等を柔軟に変更できるデジタルの教科用特定図書として「PDF版拡大図書」の制作・配布を行ってきました。また、2019年度からは、広島大学の氏間和仁研究室が製作・提供している「文字・画像付き音声教材」(e-Pat)について、データ配信およびセキュリティー付与等について広島大学と再委託契約を結び、協力しております。2021年度は、以下の役割分担で事業を展開します。
【慶應義塾大学と広島大学の役割分担】
- 慶應義塾大学が提供する「PDF版拡大図書」
- 対象:拡大教科書が必要な視覚に障害のある小中高校生
- 事業主体:
PDF版拡大図書は、慶應義塾大学中野泰志研究室が作成した教科書・教材閲覧用アプリ「UDブラウザ」用のデジタル教材です。本事業において、PDF版拡大図書を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、運用上の課題や利便性等についてアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。また、年度末に実践報告会(参加は任意です)を実施する予定です。
- 広島大学が提供する「文字・画像付き音声教材」(e-Pat)
- 対象:発達障害等のある小中高校生
- 事業主体:文部科学省初等中等教育局教科書課の受託事業
広島大学が提供している「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」は、慶應義塾大学中野泰志研究室が広島大学からの再委託契約によりサーバー等の運用を行って製作されている教材です。PDF版拡大図書と同じくUDブラウザを利用して閲覧しますので、読み方を指定する機能以外のUDブラウザの機能は同じように利用できます。コンテンツの相違点としては、e-Patは教材作成の際に、発達障害等のある児童生徒向けの工夫を施しています。発達障害等が主たる障害である場合には、広島大学「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」を、視覚障害が主たる障害である場合には、慶應義塾大学「PDF版拡大図書」をご利用ください。なお、2020年度は、広島大学「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」の普及・啓発のために、視覚障害のある小学生には 広島大学「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」の利用をお願いしておりましたが、2021年度からは、学年に限らず、視覚障害のある児童生徒は、慶應義塾大学「PDF版拡大図書」をご利用いただいて構いません。
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- 文部科学省初等中等教育局教科書課「特別支援学校(視覚障害等)高等部における教科書デジタルデータ活用に関する調査研究」
本事業の目的は、視覚障害等のある児童生徒が教科書デジタルデータ(PDF版拡大図書)を教科用拡大図書として使用可能とするための提供システムの構築や、それに伴う諸課題等について検証することです。本事業において、「PDF版拡大図書」を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、運用上の課題や利便性等についてアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。なお、本事業は、文部科学省からの受託研究であり、今後のデジタル教科書のあり方に資する重要な研究です。
- 慶應義塾大学中野泰志研究室「小中学校におけるPDF版拡大図書に関する調査研究」事業
本事業は、慶應義塾大学中野泰志研究室が、著作権法施行令第2条第1項第2号の規定により視覚障害者等のための複製等が認められる者として作成した小中学生用PDF版拡大図書の効果に関する調査研究として実施します。本事業において、「PDF版拡大図書」を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、紙の拡大教科書との比較等に関するアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。
2020年度は、広島大学「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」の普及・啓発のために、視覚障害のある小学生には 広島大学「文字・画像付き音声教材(e-Pat)」の利用をお願いしておりましたが、2021年度からは、学年に限らず、視覚障害のある児童生徒は、慶應義塾大学「PDF版拡大図書」をご利用いただいて構いません。
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文部科学省の教科書目録にある小学校、中学校、高等学校の教科書は、すべて利用できます。この目録に掲載している教科書であれば、盲学校・高等部・保健理療科や高等専門学校等からの申請も可能です。
すぐに提供可能な教科書
申請後、すぐに利用可能な制作済み教科書は以下の通りです。
作成依頼が可能な教科書
上述の「すぐに提供可能な教科書」リストになくても、文部科学省の教科書目録にある小学校、中学校、高等学校の教科書は、すべて申請可能です。新規に申請を希望する場合には、「新規作成希望依頼」を事務局にご連絡ください。なお、新規に作成する場合、時間がかかる場合がありますので、ご了承ください。
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「PDF版拡大図書」の無償提供の対象は、以下の要件を満たしている児童生徒です。また、当該児童生徒を指導している教員への提供も可能です。
- 視覚に障害(障害者手帳を有している必要はありませんし、視覚特別支援学校や弱視特別支援学級に在籍している必要はありません)があるために、通常の検定教科書にアクセスすることが困難であること
- PDF版拡大図書を授業や家庭学習等で利用したいと希望していること
- 当該児童生徒、保護者、担当教員、学校長が本研究の趣旨に同意していること
- アンケート調査、ヒアリング等、研究への協力が可能であること
- 後述の「PDF版拡大図書運用上の留意点」を守り、不正利用をしないこと
- 特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校等の学校長が上述の要件を満たしていることを認め、調査研究協力校として登録すること
なお、PDF版拡大図書は、調査研究協力校としてご登録いただいた特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校等に提供いたします。在籍校の学校長が上述の要件を満たしていることを認め、調査研究協力校になることが出来ない場合には、近隣の特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校設置校等を介して手続きをしていただいても構いません。
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学校長及び研究担当者は、以下の留意点を守って、運用していただくようお願いいたします。
- PDF版拡大図書を利用するためには、iPad/iPhone/iPod Touchと教科書・教材閲覧用アプリ「UDブラウザ」(無償)が必要です。これらのデバイスとアプリは、学校もしくは当該児童生徒が用意してください。
- UDブラウザには教科書のサンプルが入っていますので、事前に使い勝手等を確認してください。
- セキュリティを担保するため、PDF版拡大図書を利用するiPadには、常時、最新のiOS及び「UDブラウザ」をインストールしていただくようお願いします。
- PDF版拡大図書の提供は、文部科学省等からの受託研究の一貫として行うものであるため、申請された場合には、必ず、研究へのご協力(アンケート調査への協力等)をお願いいたします。
- PDF版拡大図書は、慶應義塾大学のホームページからダウンロード出来る形式で提供いたします。また、ホームページからダウンロードしたデータは、各学校でiPad等に転送するようお願いします(iPad等から直接ダウンロードすることも可能です)。なお、ホームページからダウンロード等が出来ない場合には、DVD等で提供いたしますので、ご相談ください。
- PDF版拡大図書は、本研究の目的以外では利用しないでください。セキュリティは担保してありますが、他者にデータを提供する等の不正な利用をしないようにお願いします。
- 各自が利用出来るのは、登録申請していただいたPDF版拡大図書のみです。複数の端末(例えば、学校用と家庭用)にインストールすることも可能ですし、年度途中で追加申請をすることも可能です。
- PDF版拡大図書には、パスワードによる利用制限がかけられています。利用制限を解除するためには、慶應義塾大学に対して利用者登録をしていただく必要があります。
- 慶應義塾大学の事務局とやり取りをする研究担当者を任命してください(特別支援学校の場合は、原則として、学部ごとに任命をお願いします)。
- 研究担当者と事務局とのやり取りは、メールで行います。書類を添付ファイルでお送りすることがあるため、メールにファイル添付が出来るように設定をお願いします。
- iPadを紛失する等で、データ流出の危険性が生じた場合には、必ず、ご連絡くださるようお願いいたします。
- PDF版拡大図書は、各教科書発行者からお預かりしている貴重なデータです。申請にあたっては、間違いのないよう、慎重にお願いします。
- PDF版拡大図書を1冊、作成するためには、日数と費用がかかるため、無償提供が可能なPDF版拡大図書一覧にない教科書の作成を申請する際には、教科書名等を間違えないようにお願いします。
- 紙媒体の教科書の使用義務(学校教育法第34条等)がありますので、ご留意してください。
- 本研究の対象は弱視等で見えにくさがあり、通常の教科書にアクセスすることが困難な児童生徒です。障害者手帳を有している必要はありませんし、視覚特別支援学校や弱視特別支援学級に在籍している必要はありません。なお、盲の児童生徒に適用していただいても構いません。
- 地域の学校に在籍している視覚に障害のある児童生徒にも、PDF版拡大図書の提供を行います。ただし、希望するすべての教科書がすぐに用意できない場合があることやリフロー可能なデータを用意できない場合があることをご了承ください。また、必ず、研究へのご協力(アンケート調査への協力等)をお願いいたします。
- 前年度から継続して利用する場合、利用したい教科書は、すべて登録してください。
- 当該児童生徒を指導する目的(教材研究や授業中の指示等)で、教員が利用することも可能です。その場合、あくまで児童生徒が利用していることが前提になっているので、必ず、利用登録をお願いいたします。なお、当該児童生徒が利用していない教科書を申請することは出来ませんので、ご注意ください。
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- 学校長へのお願い
- 研究への参加要件や運用上の留意点の確認
- 研究担当者の任命
- 研究担当者の方へのお願い
- 利用者の登録・管理
- 慶應義塾大学との連絡用メーリングリストへの参加
- データの管理(DVD等で提供を受けた場合には返却)
- DVD等で提供を受けた場合には、PDF版拡大図書の入ったDVDを利用したインストール作業
- PDF版拡大図書のサーバーからダウンロード&インストール作業
- 児童生徒、教員、保護者からの意見の集約ならびに事務局との連絡役
- アンケート調査等への協力
- 慶應義塾大学が主催する実践研究成果報告会や日本弱視教育研究会の機関誌「弱視教育」等での報告(希望する学校のみ)
- PDF版拡大図書の利用を希望する児童生徒の皆様へのお願い
- PDF版拡大図書を授業や家庭学習等で利用
- アンケート調査およびインタビューへの協力
- データや使い勝手等について気付いたことの教員への報告
- 当該児童生徒を担当している教員の皆様へのお願い
- アンケート調査およびインタビューへの協力
- 児童生徒からの意見聴取と報告
- PDF版拡大図書を授業等に利用していただき、自ら気付いた点等の報告
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PDF版拡大図書の提供にあたっては、「教科書デジタルデータの提供に関する実施要項(平成21年2月10日 文部科学大臣決定 平成22年3月18日改正)」に基づき、利用する教科書を文部科学省教科書課及び教科書発行者(出版社)に提出する必要があります。
学校長からご指名いただいた研究担当者の先生から申請希望のメールが届き次第、「研究協力校承諾書」等の必要な書類をメール添付でお送りします。書類が届きましたら、必要事項にご記入の上、メール添付にて、ご返信ください。なお、研究担当者の先生のメールアドレスは、慶應義塾大学との連絡用メーリングリストに登録させていただきます。
「研究協力校承諾書」等の確認が終わりましたら、PDF版拡大図書を提供させていただきます。
ステップ1:研究協力校申請
ステップ2:利用者・認証コード申請
- 事務局で研究協力校承諾書の確認が終わったら、申請書類提出のお願いメールを研究担当者宛にお送りします。
- 利用するiPadの「認証コード」を取得した上で、申請書類に必要事項をご記入の上、「返送用_利用者申請書」「認証パスワード申請書」をメール添付で事務局にご返送ください。
- 申請書類はダウンロードも可能なので、事務局から申請書を送付する前に準備していただくことも可能です。
ステップ3:教科書データのダウンロード
- 事務局にてお送りいただいた利用者申請書・認証パスワード申請書の確認が終了したら、認証パスワード(QRコード)をPDFで送付いたします。
- 届いた認証パスワード(QRコード)をUDブラウザへ読み込んでいただき、教科書データをダウンロード・解凍してください(詳細は「PDF版拡大図書をUDブラウザへ取り込む方法」をご確認ください)。
- 教科書データをダウンロード・解凍が完了しましたら、使用できるようになりますのでご活用ください。
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- 利用者申請書
- 小学校用、中学校用、高等学校用、保健理療科用、教員用がありますので、必要な書類をダウンロードして、ご記入ください。
- 初めにどの生徒にどの利用者IDを振り分けるか決めてください。
- 決まりましたら、学校名、研究担当者の氏名、利用者IDに対して該当の児童生徒の情報を記入してください。
- 同じ学部内に追加で申請を希望する場合、すでに提出していただいた利用者申請の続きから利用者IDを割り振り、児童生徒の情報を記入して事務局までお送りください。通級や相談の生徒から追加申請が来た場合も同じです。
- 教材研究や授業中の指示等の目的で、教員が利用することも可能です。ただし、教員が申請を出せる教科書データは貴校の児童生徒と同じ教科書データのみです。
- 各利用者IDと児童生徒の対応がわかるように、学校保存用の対応表を作成し、学校に保管していただくようお願いします。なお、この対応表には、個人情報が含まれますので、事務局に送らないように気をつけてください。
- 認証パスワード申請書
- 小学校用、中学校用、高等学校用、保健理療科用、教員用がありますので、必要な書類をダウンロードして、ご記入ください。
- 学校名、利用者ID、認証コード、教科書ファイル名を記入してください。
- 認証パスワード申請書は1人につき、1つのエクセルを作成してください。希望者が3人の場合は、3つエクセルファイルを作成してください。
- 教科書ファイル名については、以下からコピーしてください。なお、このファイルの中には中野研究室で作成済みの教科書の一覧が記載されています。教科書番号や教科書名のところにフィルター設置いたしましたので、提供を希望する教科書を検索してください。
- 教科書一覧から「教科書ファイル名」をコピーした後、認証パスワード申請書にペーストする際には、「形式を選択してペースト」を選び、「数値」を選択してください。
- 今年度使用する教科書データのファイル名を全て認証パスワード記入欄に記載してください。
- 昨年度以前にすでに申請済みの教科書を今年度も引き続き使用することは可能ですが、その場合、必ず、今回の認証パスワード申請書の教科書ファイル名に教科書を記載してください。申請書に記載せずに、昨年度以前の教科書を使い続けることは出来ませんので、ご注意ください。
- 「認証コード」を取得する際には、PDF版拡大図書を利用するiPadを利用してください。
- 申請書の書き方説明動画
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申請手続きが終了したら、事務局から認証パスワード等をお送りします。「PDF版拡大図書をUDブラウザへ取り込む方法」についての説明資料も添付しますので、手順に従って、PDF版拡大図書をご利用ください。なお、PDF版拡大図書をUDブラウザへ取り込むためには、以下の3種類の方法があります。
- ケース1:iPadをインターネットに接続し、ダウンロードする方法
- ケース2:DVDからパソコン経由でiPadに転送する方法
- ケース3:パソコンをインターネットに接続し、ダウンロードした後に、iPadに転送する方法
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