2020年度PDF版拡大図書に関する研究
慶應義塾大学「PDF版拡大図書」申請について
研究代表者:中野 泰志
公開日:2020年2月28日
更新日:2020年4月26日
緊急事態宣言下でのPDF版拡大図書の提供について
日本を含め、世界中で新型コロナウイルス感染症の拡大が続いています。政府が緊急事態宣言を発出し、首都圏だけでなく、全国に影響が出てきています。このような状況を踏まえ、本事業を実施している慶應義塾では、感染拡大の防止という社会的責任と使命を果たすために、キャンパスの閉鎖を続けてまいりました。学生だけでなく、教職員も自宅に留まり、これ以上、感染を拡大させないようにしています。全国の大学に先駆けて、キャンパス閉鎖を行いつつも、教育・研究・医療活動の継続を図るため、教職員の在宅での勤務態勢を構築してきました。その結果、現時点では、各種会議を含め、ほぼすべての活動がこれまで通り、行えるようになってきました。特に、PDF版拡大図書の提供にかかるスタッフの処遇については、大学や派遣会社等から迅速な対応をしていただいたお陰で、現在、これまでと同様のデータ提供が可能になっております。キャンパス閉鎖当初は、少し戸惑いがありましたが、現在は、スムーズに作業が実施できておりますので、ご遠慮なく、ご申請いただきたいと思います。ただし、電話、ファックス等、スタッフが大学に行かなければならないサービスには未だ対応ができませんので、ご了承ください。また、郵便や宅配便につきましても、流通に携わる方々のご負担や郵便物等を介した感染拡大のリスクを考慮し、現在、本大学では受付を停止しています。そのため、ネットワークが利用できない学校等に対して実施していたDVD等でのデータ提供やiPad等をお送りいただき、インストールして返送するというサービスに関しては、キャンパス閉鎖が解除されるまで、実施できませんので、ご了承ください。なお、大学の閉鎖期間は4月7日(火)から5月6日(水)[当初は4月20日(月)でしたが、緊急事態宣言は発されたため延長]の予定ですが、今後の感染拡大の状況によってはさらに延長される場合があります。
どのような状況になっても、視覚障害のある児童生徒が安心して、安全に教育活動を継続できるように支援することが、私達の役割だと思っています。また、未曾有の困難の中で教育活動の継続に尽力されている先生方を支えるのも私達の役割だと考えています。もし、学校が閉鎖されているために、児童生徒が自宅でデータをダウンロードできるようにしたい等の要望がありましたら、ご相談ください。本来、個人情報保護の観点から、私達が児童生徒と直接、やり取りをしないようにしていますが、今回は、緊急事態なので、学校の了解が得られていれば、直接、児童生徒の支援をすることも検討いたします。このような非常事態だからこそ、在宅での学習は重要ですし、在宅学習を行う際に教科書は重要だと思いますので、遠慮なくご相談ください。
大変な状況ではありますが、感染防止のために外出を自粛しつつも、粛々と教育活動等を展開し、児童生徒の学びを支援したいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
應義塾大学中野泰志研究室では、長年、文部科学省初等中等教育局の委託を受け、視覚に障害のある児童生徒のための教科用特定図書(拡大教科書等)に関する実践的研究を実施しています。2013年度からは、紙の検定教科書と同じレイアウトを保持しつつ、文字サイズやフォント等を柔軟に変更できるデジタルの教科用特定図書として「PDF版拡大図書」の制作・配布を行ってきました。また、2019年度からは、広島大学の氏間和仁研究室が製作・提供している「文字・画像付き音声教材」(e-Pat)について、データ配信およびセキュリティー付与等について広島大学と再委託契約を結び、協力しております。2020年度は、以下の役割分担で事業を展開します。
【慶應義塾大学と広島大学の役割分担】
- 慶應義塾大学が提供する「PDF版拡大図書」
- 広島大学が提供する「文字・画像付き音声教材」(e-Pat)
- 対象:発達障害等(視覚障害,肢体不自由,聴覚障害,知的障害等の検定本へのアクセスが困難な状態)のある小中高校生
- 事業主体:文部科学省初等中等教育局教科書課の受託事業
PDF版拡大図書は、慶應義塾大学中野泰志研究室が作成した教科書・教材閲覧用アプリ「UDブラウザ」用のデジタル教材です。本事業において、PDF版拡大図書を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、運用上の課題や利便性等についてアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。また、年度末に実践報告会(参加は任意です)を実施する予定です。
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- 文部科学省初等中等教育局教科書課「特別支援学校(視覚障害等)高等部における教科書デジタルデータ活用に関する調査研究」
本事業の目的は、視覚障害等のある生徒が教科書デジタルデータ(PDF版拡大図書)を教科用拡大図書として使用可能とするための提供システムの構築や、それに伴う諸課題等について検証することです。本事業において、「PDF版拡大図書」を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、運用上の課題や利便性等についてアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。なお、本事業は、文部科学省からの受託研究であり、今後のデジタル教科書のあり方に資する重要な研究です。
- 慶應義塾大学中野泰志研究室「中学校におけるPDF版拡大図書に関する調査研究」事業
本事業は、慶應義塾大学中野泰志研究室が、著作権法施行令第2条第1項第2号の規定により視覚障害者等のための複製等が認められる者として作成した中学生用PDF版拡大図書の効果に関する調査研究として実施します。本事業において、「PDF版拡大図書」を無償で提供させていただきますので、このPDF版拡大図書を授業や家庭学習においてご活用いただき、紙の拡大教科書との比較等に関するアンケート調査等にご協力くださるようにお願いいたします。
小学生用「PDF版拡大図書」は、基本的に、広島大学が提供する「文字・画像付き音声教材」(ファイル形式は異なりますが、内容や機能等は、これまで慶應義塾大学で提供させていただいていた「PDF版拡大図書」と同じです)をご活用ください。なお、諸事情により、慶應義塾大学から小学生用「PDF版拡大図書」の提供を受けたい場合には、慶應義塾大学に個別にご相談ください。
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無償で提供可能なPDF版拡大図書は以下の通りです。
上述のリストにない検定教科書を希望する場合には、「新規作成希望依頼」を事務局にご提出ください。なお、予算が限られているため、提供できる教科書に限りがあることや提供させていただくデータの精度が必ずしも高くない(教科によってはPDFのみであったり、漢字の読み上げが正確ではないデータがあったりします)ことをご了承ください。また、新規に作成する場合、数ヶ月程度時間がかかる場合がありますので、ご了承ください。
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「PDF版拡大図書」の無償提供の対象は、以下の要件を満たしている生徒です。
- 視覚に障害(障害者手帳を有している必要はありませんし、視覚特別支援学校や弱視特別支援学級に在籍している必要はありません)があるために、通常の検定教科書にアクセスすることが困難であること
- PDF版拡大図書を授業や家庭学習等で利用したいと希望していること
- 当該生徒、保護者、担当教員、学校長が本研究の趣旨に同意していること
- アンケート調査、ヒアリング等、研究への協力が可能であること
- 後述の「PDF版拡大図書運用上の留意点」を守り、不正利用をしないこと
- 特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校等の学校長が上述の要件を満たしていることを認め、調査研究協力校として登録すること
なお、PDF版拡大図書は、調査研究協力校としてご登録いただいた特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校等に提供いたします。在籍校の学校長が上述の要件を満たしていることを認め、調査研究協力校になることが出来ない場合には、近隣の特別支援学校や特別支援学級・通級指導教室設置校設置校等を介して手続きをしていただいても構いません。
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学校長及び研究担当者は、以下の留意点を守って、運用していただくようお願いいたします。
- PDF版拡大図書を利用するためには、iPad/iPhone/iPod Touchと教科書・教材閲覧用アプリ「UDブラウザ」(無償)が必要です。これらのデバイスとアプリは、学校もしくは当該生徒が用意してください。
- UDブラウザには教科書のサンプルが入っていますので、事前に使い勝手等を確認してください。
- セキュリティを担保するため、PDF版拡大図書を利用するiPadには、常時、最新のiOS(iOS10以上が必須、iOS13以上を推奨)及び「UDブラウザ」(ver.2.11.0以上が必須)をインストールしていただくようお願いします。
- PDF版拡大図書の提供は、文部科学省の研究の一貫として行うものであるため、申請された場合には、必ず、研究へのご協力(アンケート調査への協力等)をお願いいたします。
- PDF版拡大図書は、慶應義塾大学のホームページからダウンロード出来る形式で提供いたします。また、ホームページからダウンロードしたデータは、各学校でiPad等に転送するようお願いします(iPad等から直接ダウンロードすることも可能です)。なお、ホームページからダウンロード等が出来ない場合には、DVD等で提供いたしますので、ご相談ください。
- PDF版拡大図書は、本研究の目的以外では利用しないでください。セキュリティは担保してありますが、他者にデータを提供する等の不正な利用をしないようにお願いします。
- 各自が利用出来るのは、登録申請していただいたPDF版拡大図書のみです。複数の端末(例えば、学校用と家庭用)にインストールすることも可能ですし、年度途中で追加申請をすることも可能です。
- PDF版拡大図書には、パスワードによる利用制限がかけられています。利用制限を解除するためには、慶應義塾大学に対して利用者登録をしていただく必要があります。
- 慶應義塾大学の事務局とやり取りをする研究担当者を任命してください(特別支援学校の場合は、原則として、学部ごとに任命をお願いします)。
- 研究担当者と事務局とのやり取りは、メールで行います。書類を添付ファイルでお送りすることがあるため、メールにファイル添付が出来るように設定をお願いします。
- iPadを紛失する等で、データ流出の危険性が生じた場合には、必ず、ご連絡くださるようお願いいたします。
- PDF版拡大図書は、各教科書発行者からお預かりしている貴重なデータです。申請にあたっては、間違いのないよう、慎重にお願いします。
- PDF版拡大図書を1冊、作成するためには、日数と費用がかかるため、無償提供が可能なPDF版拡大図書一覧にない教科書の作成を申請する際には、教科書名等を間違えないようにお願いします。なお、予算の上限を超えた場合には、新規作成をお断りさせていただく場合もありますので、ご了承ください。
- 紙媒体の教科書の使用義務(学校教育法第34条等)がありますので、ご留意してください。
- 本研究の対象は弱視等で見えにくさがあり、通常の教科書にアクセスすることが困難な生徒です。障害者手帳を有している必要はありませんし、視覚特別支援学校や弱視特別支援学級に在籍している必要はありません。なお、盲の生徒に適用していただいても構いませんが、現時点では、漢字の正確な読み上げ等が保障出来ていませんので、ご了承ください。
- 地域の学校に在籍している視覚に障害のある生徒にも、PDF版拡大図書の提供を行います。ただし、希望するすべての教科書がすぐに用意できない場合があることやリフロー可能なデータを用意できない場合があることをご了承ください。また、必ず、研究へのご協力(アンケート調査への協力等)をお願いいたします。
- 前年度から継続して利用する場合、利用したい教科書は、すべて登録してください。
- 当該生徒を指導する目的(教材研究や授業中の指示等)で、教員が利用することも可能です。その場合、あくまで児童生徒が利用していることが前提になっているので、必ず、利用登録をお願いいたします。なお、当該生徒が利用していない教科書を申請することは出来ませんので、ご注意ください。
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- 学校長へのお願い
- 研究への参加要件や運用上の留意点の確認
- 研究担当者の任命
- 研究担当者の方へのお願い
- 利用者の登録・管理
- 慶應義塾大学との連絡用メーリングリストへの参加
- データの管理(DVD等で提供を受けた場合には返却)
- DVD等で提供を受けた場合には、PDF版拡大図書の入ったDVDを利用したインストール作業
- PDF版拡大図書のサーバーからダウンロード&インストール作業
- 生徒、教員、保護者からの意見の集約ならびに事務局との連絡役
- アンケート調査等への協力
- 慶應義塾大学が主催する実践研究成果報告会や日本弱視教育研究会の機関誌「弱視教育」等での報告(希望する学校のみ)
- PDF版拡大図書の利用を希望する生徒の皆様へのお願い
- PDF版拡大図書を授業や家庭学習等で利用
- アンケート調査およびインタビューへの協力
- データや使い勝手等について気付いたことの教員への報告
- 当該児童生徒を担当している教員の皆様へのお願い
- アンケート調査およびインタビューへの協力
- 生徒からの意見聴取と報告
- PDF版拡大図書を授業等に利用していただき、自ら気付いた点等の報告
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PDF版拡大図書の提供にあたっては、「教科書デジタルデータの提供に関する実施要項(平成21年2月10日 文部科学大臣決定 平成22年3月18日改正)」に基づき、利用する教科書を文部科学省教科書課及び教科書発行者(出版社)に提出する必要があります。
学校長からご指名いただいた研究担当者の先生から申請希望のメールが届き次第、「研究協力校承諾書」等の必要な書類をメール添付でお送りします。書類が届きましたら、必要事項にご記入の上、メール添付にて、ご返信ください。なお、研究担当者の先生のメールアドレスは、慶應義塾大学との連絡用メーリングリストに登録させていただきます。
「研究協力校承諾書」等の確認が終わりましたら、PDF版拡大図書を提供させていただきます。
- ステップ1:研究協力校申請
- 学校長に研究協力依頼書(ワード・PDF)をお渡しいただき、研究協力の可否をご判断ください。
- PDF版拡大図書の提供を希望される場合には、メールに、「1.学校名、2.ご担当者のお名前・ご所属・ご連絡先[電話、メール]、3.備考等」をご記入の上、「2020年度PDF版拡大図書の調査研究協力校申請」というタイトルで、「研究協力校承諾書」を添付し、事務局までご送信くださるようお願いいたします。
- 研究協力校承諾書は以下からダウンロードしてご利用ください。
- 特別支援学校で申請していただく場合、学部単位(中学部、高等部それぞれにご担当者を決めてください)でお願いいたします。教科書申請等の諸手続きについては、各学部の研究担当者の先生(規模の小さな学校の場合には、1人で複数の学部を取りまとめていただいて構いませんし、規模の大きな学校の場合には、1つの学部を複数名でご担当いただいても構いません)とメールでやり取りさせていただきたいと思います。
- ステップ2:利用者・認証コード申請
- 事務局で研究協力校承諾書の確認が終わったら、申請書類提出のお願いメールを研究担当者宛にお送りします。
- 利用するiPadの「認証コード」を取得した上で、申請書類に必要事項をご記入の上、「返送用_利用者申請書」「認証パスワード申請書」をメール添付で事務局にご返送ください。なお、申請書類はダウンロードも可能なので、事務局から 事前に準備していただくことも可能です。
- お送りいただいた書類の確認出来たら、事務局から教科書のダウンロード方法と「認証パスワード」をお送りしますので、ご活用ください。
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申請手続きが終了したら、事務局から認証パスワード等のお送りします。「PDF版拡大図書をUDブラウザへ取り込む方法」についての説明資料も添付しますので、手順に従って、PDF版拡大図書をご利用ください。なお、PDF版拡大図書をUDブラウザへ取り込むためには、以下の3種類の方法があります。
- ケース1:iPadをインターネットに接続し、ダウンロードする方法
- ケース2:DVDからパソコン経由でiPadに転送する方法
- ケース3:パソコンをインターネットに接続し、ダウンロードした後に、iPadに転送する方法
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