プロジェクトについて
本研究は,「1 合意形成支援ポータルの構築・評価」,「2 配慮促進支援ツールの試作・評価」,「3 研修カリキュラムの開発・評価」の3つの内容で構成されています。
1. 合意形成支援ポータルの構築・評価
ポータルサイトは,
- 1) 個別相談システム
- 2) 意見・情報交換システム
- 3) 情報提供システム
の3つの機能を提供しつつ,合意形成事例を蓄積する仕組みである。本ポータルや寄せられた合理的配慮に関する個別相談事例や教員同士の意見・情報交換で必要とされた知識・技術等を公開し,広く情報提供を行う。合理的配慮の事例収集は、結果よりも過程が重要であるため,本研究では,相談システムを支援ポータルに内包し,情報提供・相談アドバイスをスパイラルアップ方式で繰り返すことで,合意形成過程をダイナミックに捉えると同時に提供する情報を質的にも量的にも担保できるシステムの構築を目指している点が特徴である。
2. 配慮促進支援ツールの試作・評価(ユニットリーダー:氏間)
基礎的環境整備として,視覚障害児が在籍する全ての学校に視覚支援学校と同様の教材・教具を整えることは理想であるが,実効性が低いと考えられる。また、例えば,研究分担者の拠点大学の教員が個別に支援するという方法では、持続可能性の点で問題がある。そこで,
- 1) 知覚機能評価ツール
- 拡大・音声・点字による情報処理機能を行動評価により捉え具体的支援法の提案を行うためのツール
- 2) アクセシブル教材作成支援ツール
- タブレット上で活用できるアクセシブルな教材を作成・利用できるツール
- 3) テスト・アコモデーション・ツール
- アクセシブル教材作成支援ツールの技術を援用し,公平に試験で実力を発揮するための環境をどこでも実現できるツール
- 4) 指導支援ビデオ・クリップ集
- 視覚障害児の移動支援,視機能評価,環境整備,実験・観察の指導の実践的場面を想定した教育用ビデオ教材
を備えたタブレット端末用の配慮促進支援ツールを作成し,その効果を評価する。
3. 研修カリキュラムの開発・評価(ユニットリーダー:永井)
視覚障害児の「確かな学力」,「生きる力」,「キー・コンピテンシー(主要能力)」を最大限に引き出すための「合理的配慮」を促進するために,合意形成支援ポータルや配慮促進支援ツールを有効活用できる教員研修用テキスト(教材)やカリキュラムを開発する。開発する研修カリキュラムは,視覚障害児の実際の指導場面の支援や,現職の教員や保護者・支援者の合意形成に用いるだけでなく,現職教員の資質向上(免許法認定講習・免許状更新講習等)や教員養成にも利用できるように立案し,その効果を評価する。