iPadで一対比較

◆使い方


本アプリは、素材のpdfファイルを用意することで、素材間の評価を行う一対比較の実験を行うことができます。
素材の中から、ランダムに1対を提示し、評価を行う試行を全対終わるまで繰り返し、素材ごとの評価を記録します。
実験データの分析では、対ごとの評価に基づき素材間の心理的な距離(尺度)を算出し、図として表示します。
さらに手法によっても異なりますが、素材間の尺度値の差の検定(分散分析)やどの素材間に差があるか(多重比較)の統計的検定も行います。

素材の評価を行うにあたり、
まずプロジェクトを作成し、(1)評価に使用する手法と(2)素材の選択を行います。
手法は大きく分け、素材間の優劣を問題とする「優劣のみの評価」と素材間の優劣の差までも対象とする「評点による評価」を行う方法に大別され、評価する特性や目的により適切な手法が異なります。
手法に関して詳しく知りたい方は解説を参照ください。

〇優劣のみの評価:サーストン法・ブラッドレイ法


(1)実験の実施
新規実験を開始すると、ランダムに選択された素材が左右に提示されます。
評価する特性(見やすさ、好ましさなど)に応じて左右のどちらかの素材をタップすると、次の対が提示されます。
1人の参加者が全対を評価する場合には、全対が終わるまで評価を続けます。
1対ごとに異なる参加者が評価する場合には、1対ごとに交代して評価を行います。

(2)実験終了後
全対を1人の参加者が評価する手法の場合、一意性の検定の結果を表示します。
junkの表示が出た場合には、参加者の評価の一貫性に問題がある可能性があります。
ただし、検定の特性上、素材が4個以下の場合、分析を行うことができません。
また素材間の差が小さい場合、評価自体が多次元の場合にもjunkの表示が出る点に注意する必要があります。
詳しい設定は、解説を参照ください。

(3)実験結果の分析

実験結果の分析より、実験を行ったデータから、分析に使用するデータを選択します。
データを選択し分析を実行すると、素材間の心理的距離を表す図と尺度値が表示されます。
また統計的検定(カイ二乗検定)の結果が表示されます(現時点は未実装)。
また、1人の参加者が全対を評価する手法では、一致性の検定の結果が表示されます(現時点は未実装)。


〇評点による評価:シェッフェの原法と3つの変法


(1)実験の実施
新規実験を開始すると、ランダムに選択された素材が左右に提示されます。
評価する特性(見やすさ、好ましさなど)に応じて、5件法(左が非常に、左がやや、同じ、右がやや、右が非常に)で評価します。
1人の参加者が全対を評価する場合には、全対が終わるまで評価を続けます。
1対ごとに異なる参加者が評価する場合には、1対ごとに交代して評価を行います。

(2)実験終了後
全対を1人の参加者が評価する手法の場合、一意性の検定の結果を表示します。
junkの表示が出た場合には、参加者の評価の一貫性に問題がある可能性があります。
ただし、検定の特性上、素材が4個以下の場合、分析を行うことができません。
また素材間の差が小さい場合、評価自体が多次元の場合にもjunkの表示が出る点に注意する必要があります。
詳しい設定は、解説を参照ください。

(3)実験結果の分析(v1.1.2以降では浦の変法と中屋の変法のみ)

実験結果の分析より、実験を行ったデータから、分析に使用するデータを選択することができます。
データを選択し分析を実行すると、素材間の心理的距離を表す図と統計的検定の結果(分散分析・ヤードスティック信頼区間による多重比較)が表示されます。

また、1人の参加者が全対を評価する手法では、一致性の検定の結果が表示されます。


◯素材の形式(pdfのみ)

素材のファイルはpdf形式のみに対応しています。
複数ページある場合は、最初のページのみが読み込まれます。
複数ページ、もしくはサイズが大きいpdfはサイズが大きくなり、動作が遅くなります。
可能な限りサイズを小さくすることをお勧めします。
pdfの推奨サイズは500x500 px(アスペクト比 1:1)になります。
サイズやアスペクト比が異なるとviewに合わせて自動的に拡大・縮小されるため、期待したサイズや比率で提示されない原因になります。

◯pdfの読み込みについて


pdfは新規プロジェクトを作成する際に読み込みができます。
読み込みは、iTunes経由か、dropbox経由で行えます。
・iTunes経由
stimulusというフォルダを作り、中にpdfファイルを入れ、iTunes経由で読み込みます。
・dropbox経由
dropboxと連携すると、指定フォルダ(通常はアプリ_PairedComp_stimulus内)のpdfの読み込むことができます。
stimulusフォルダに入れない限り読み込みがされないため、注意が必要です。

v1.2.0より、初期状態よりstimulusフォルダが作成されており、中にサンプルデータ(pdfファイル)が格納されています。

◯テンプレートを使用して、iPad上で素材となるpdfを作成し、PairedCompに読み込む方法

下準備:
・iPadにapple純正アプリ”Keynote”をインストールしておく(無料です)。

手順(1)
iPadより、下記URLにアクセスし、keynoteのテンプレートをKeynoteにコピーする
http://psylab.hc.keio.ac.jp/app/paired_comp/resources/paired_comp_stimulus_template.key

手順(2)Keynoteのテンプレートを利用し、文字や画像など比較した素材を作成する。
※ファイル名を変えるのを忘れずに。適切なファイル名をつけることで後で識別がしやすいです。

手順(3)
Keynoteの画面、右上にある詳細ボタンをタッチ、書き出しを選択する。
フォーマットはPDFを選択し、3段あるうちの中段の共有先一覧からPaired Compにコピーを選択

手順(4)
Paired Compアプリが立ち上がれば、読み込みができています。
上書きするか、求められる場合は、手順2でファイル名を変えていないことが原因の可能性あり。


◯データの取り出し(個別の実験結果)


実験結果の表示において、dropbox経由で実験データ(csv)をアップロードできます。
またiTunes経由で実験データの取り出しができます。

○外部データの読み込み


ケース1:同じiPadのPairedCompで取得したデータをまとめて分析したい

例えば、同じiPadのPairedCompを使い、別プロジェクトで取得した10名の参加者のデータを収集した場合が該当します。

手順
(1)分析に使用するプロジェクトを1つだけ選び、それ以外のプロジェクトのデータをdropboxにアップロードする。
(2)分析に使用するプロジェクトにdropbox経由でデータをダウンロードし、分析に使用するデータを集約する。
(3)実験結果の分析より分析を実行
ケース2:複数のiPadのPairedCompで取得したデータをまとめて分析する場合

例えば、3台のiPadをそれぞれ別々の場所でPairedCompを使用してデータを収集した場合が該当します。

手順
(1)分析に使用するiPadを1つだけ選び、別の端末のデータをdropboxにアップロードする。
(2)分析に使用するiPadのプロジェクトにdropbox経由でデータをダウンロードし、分析に使用するデータを集約する。
(3)実験結果の分析より分析を実行

◇上記の手順に基づいた操作例


手順(1)dropboxへのデータのアップロード方法
ステップ1−1:アップロードするデータが格納されているプロジェクトのうち、実験結果の表示をタッチする。
upload01s

ステップ1−2:実験結果の表示の中で、アップロードするデータを選択する。

upload02s


ステップ1−3:ポップオーバーした画面の左上に表示されているアップロードボタンを押す。
upload03s

手順(2) dropboxからのデータのダウンロード方法
ステップ2−1:分析に使用するプロジェクトのうち、実験結果の表示を開き、dropboxアイコンをタッチする 
download01s

ステップ2−2:表示されたカラムの中から、Experimentsフォルダを選ぶ。
Experimentsフォルダ内から、該当するプロジェクトと同じ名前のフォルダを選択する。

download02s

ステップ2−3:プロジェクトの中から、ダウンロードするcsvファイルを選択し、ダウンロードを行う。
すると、データが追加される。 
download03s

手順(3)データの分析の実行
ステップ3−1:分析に使用するプロジェクトのうち、実験結果の分析を開き、使用するデータを選択する。
初期状態では同じプロジェクトに格納されているデータがすべて選択されます。
分析に使用するデータが選択できていることを確認した上で、分析を実行します。
analysiSs

◯データの取り出し(個別の実験結果)



○外部データが読み込めない場合


外部データを読み込むには、取得に使用したプロジェクトの手法、刺激の数、使用したPDFファイルが同一である必要があります。
たとえば、別の手法で取得したデータは読み込むことはできません。
外部データが読み込めない場合には、まず手法、刺激の数、使用したPDFが同一かを確認してください。

◯tips


画像以外の対象(例 料理の味)を評価する場合は、適当な画像(各料理の番号)を用意することで、参加者の回答の記録、分析を行うことができます。

使い方ページ更新日:2018/06/04