近年、改正障害者差別解消法の施行や読書バリアフリー法の推進を背景に、障害学生の人数も急激に増加しており、大学における情報アクセシビリティの確保は重要な課題となっています。本プロジェクト(ACCESS++)は、2025年度に実施したACCESS+プロジェクトの成果を基盤として、慶應義塾における読書アクセシビリティおよびWEBアクセシビリティの取り組みを実装段階へと発展させ、アクセシブルキャンパスのモデルを構築することを目的としています。
2025年度のACCESS+では、学生が主体となり、障害当事者および専門家と協働しながら、読書バリアフリーおよびWEBアクセシビリティの課題を調査し、ワークショップやアクセシビリティ診断を通じてアクセシブルな図書の製作やWEBページの改善点の明確化等を行ってきました。しかし、活動期間が半年であったため、学生から継続の希望が多くありましたし、モデルを構築するまでには至らなかったため、本年度も継続いたします。
2026年度のACCESS++では、2025年度の成果を踏まえ、大学の情報環境を実際に改善する実装型プロジェクトを展開し、持続可能で汎用性のある大学アクセシビリティモデルの構築を目指します。特に、読書アクセシビリティに関しては、慶應義塾大学の卒業生が設立したディスレクシアの当事者団体であるNPO法人EDGEと連携し、発達障害等で読みに困難のある学生に対応した音声教材の製作・活用を進め、大学における読書バリアフリーの実践モデルを構築します。また、2026年度に慶應義塾大学の公式WEBサイトがリニューアルされましたが、一般にWEBサイトの更新や改修の際にはアクセシビリティが低下する事例が少なくありません。そこで、本プロジェクトでは、この課題に対応するため、学生だけでなく教職員も対象としたWEBアクセシビリティ研修を実施し、アクセシビリティを維持・向上させる組織的な仕組みづくりを推進します。
本プロジェクトは、学生主体の学習プログラムであると同時に、大学全体の情報環境をアクセシブルなものへと改善する大学改革型プロジェクトです。慶應義塾における実践を通じて、大学におけるアクセシブルキャンパスのモデルを提示し、その成果を全国の大学や社会に発信したいと考えています。
本ACCESS+プロジェクトで一緒に活動してくださるメンバー(慶應義塾大学の学部・大学院生・教職員)を募集しています。内容は以下の通りです。なお、参加費は無料です。また、研修やワークショップ等については、参加者が決定した時点で、日程調整をいたします。
ACCESS++では、2025年度の成果を踏まえ、読書アクセシビリティとWEBアクセシビリティの実装に向けた実践活動を行いつつ、持続可能で汎用性のある大学アクセシビリティモデルを構築する計画です。
障害者権利条約および社会モデル・人権モデルの視点に基づいて障害を理解するために障害平等研修(2026年9月14日)を実施します。その上で、プリントディスアビリティ(視覚障害・発達障害・肢体不自由等)に関する理解を深めるために、NPOエッジと連携し、発達障害や読み困難のある学生の学習環境に関する講義・ワークショップを実施します。
RAX++では、プリントディスアビリティのある学生の読書環境を改善するため、図書館資料のアクセシブル化(テキスト化・音声化等)、発達障害等の学生向け音声教材の製作ワークショップ(NPOエッジ連携)、製作した図書の国立国会図書館「みなサーチ」への登録、アクセシブル閲覧アプリの活用評価等の活動を実施します。また、将来的に協生環境推進室@easeサポーター等が関わることが出来る持続可能な読書バリアフリー実践モデルを構築します。
WAX++では、慶應義塾のWEB環境のアクセシビリティ向上を目的として、学内WEBサイトのアクセシビリティ診断、スクリーンリーダー等によるユーザビリティ評価、WCAGおよびJIS X 8341-3に基づく改善提案、WEBアクセシビリティ評価手法の体系化等を行う計画です。また、WEBサイトの更新やコンテンツ追加の際にアクセシビリティが低下することを防ぐため、学生だけでなく教職員も対象とした研修を実施します。研修では、WEBアクセシビリティの基本理念、WCAGおよびJIS規格の理解、スクリーンリーダー体験、アクセシブルなコンテンツ作成(AI等を活用した図表への効果的なオルタナティブテキストの作成方法を含む)等を扱い、大学全体でアクセシビリティを維持するための体制づくりを進める計画です。
本プロジェクトの活動への参加希望や各種お問い合わせは「メール(access-plus-group@keio.jp) 」でご連絡ください。
2025年度に採択されたACCESS+プロジェクトでは、慶應義塾における読書アクセシビリティおよびWEBアクセシビリティの向上を目的として、学生主体の実践的な取り組みを実施した。本プロジェクトには学部・研究科を横断して学生が参加し、障害当事者および専門家と協働しながら、読書アクセシビリティユニット(RAX)とWEBアクセシビリティユニット(WAX)の2つのユニットに分かれて活動を行った。
読書アクセシビリティユニット(RAX)では、大学図書館資料のアクセシブル化に取り組み、「読書バリアフリーを推進するためのコンテンツ制作ワークショップ」を実施した。その結果、学生が制作に関わったアクセシブル図書124冊を国立国会図書館の「みなサーチ」に登録することができた。これにより、本学が提供したアクセシブル図書は累計1,881冊となり、全国の大学図書館が提供したアクセシブル図書の48.7%を占めるまでになった。これらの活動を通じて、学生は資料のテキストデータ化・音声化の技術だけでなく、アクセシブルコンテンツ制作における倫理的配慮や著作権処理の実務についても学ぶことができた。また、アクセシブルな閲覧環境の理解を深めるため、「アクセシブル閲覧アプリ開発(改良)ワークショップ」を3回実施し、アクセシブルな閲覧アプリの設計・評価・改善プロセスについて実践的に学んだ。
WEBアクセシビリティユニット(WAX)では、アクセシビリティ専門家を招聘し、WCAGや支援技術(スクリーンリーダー等)に関する研修を実施した。その後、学内の公式WEBサイトを対象とした「Webアクセシビリティ診断・検証ワークショップ」を4回実施し、障害当事者とともに実際のサイトを評価し、具体的な改善点を整理した。
これらの活動の成果は、学生と塾内外の有識者による最終報告会で発表するとともに、プロジェクトWEBサイト「2025年度実施 未来先導ACCESS+プロジェクト」で公開した。