小児期に視覚障害があることが明らかになった場合、本人への直接的支援と並行して、家族、特に保護者に対する教育的な観点からの支援が必要不可欠です。そのため、視覚特別支援学校には、学齢児だけでなく、早期教育相談を始め、様々な相談支援体制が用意されています。しかし、視覚障害児とその家族が教育の専門家に出会って、支援を受けるまでには時間がかかっているのが日本の現状ではないかと思います。英国では、視覚障害の告知を受けた子供達とその家族の気持ちを受け入れ、すぐに使える実用的なかかわり方を示しつつ、教育の専門に繋いでくれる小児ECLO(注)という橋渡しの専門家が子供病院に配置されています。本研修会では、英国のRNIB(Royal National Institute of Blind People)からECLOの専門家をお呼びし、小児ECLOがどのような役割を果たしているかをお話いただきます。ご講演は、すべて対面とオンラインのハイブリッド形式で実施します。なお、講演は英語で行われますが、日本語の逐次通訳がつきます。
(注)ECLOはEye Clinic or Care Liaison Officerの略で、眼科を拠点として、視覚障害のある患者に対してサポートする実務担当者のことです。ECLOは、眼疾患や視覚障害、特に、視覚障害が人々の日常生活にどのような影響を与えるかについて多くの知見を持っており、患者だけでなく、家族、介護者、友人の支援も行います。そして、気持ちに寄り添う精神的なサポート、日常生活ですぐに役立つ実用的なサポート、経済的なサポートなどを行いつつ、生活訓練、歩行訓練などの専門家との橋渡しを行います。
Stevie Johnson先生は、RNIBにおけるECLOプログラムおよび早期介入サービスの責任者を務めておられます。視覚障害者への質の高い支援の提供に尽力されており、多数の論文も執筆しておられます。また、ECLO Quality Framework and Practice Guidelinesや Referral Guidelinesなど、実践指針の作成にも貢献されています。
Carolyn Chamberlain先生は、英国全土のアイケア支援サービスを統括する責任者として、病院常駐のECLOや電話相談サービスの展開と質の向上に取り組んでおられます。膨大な予算を管理し、政策提言、サービス委託、関係機関との連携を通じて、持続可能で利用者本位の支援体制を構築しておられます。また、全国統一のケース管理システムの導入プロジェクトも指揮しておられます。